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鉄鋼の産業発展物語 第13話 / わずか4年で田畑に製鉄所をつくった偉業

 

建設機械もない時代、熟練工もいない時代に、八幡村の田畑に製鉄所建設が決定されてから、
わずか4年間で、近代的な一貫製鉄所をつくった。
そして、近代国家をつくりたいという日本人が熱い想いが結集して苦難の突貫プロジェクトを
完遂させた。

 

 
どこから技術を導入するか
製鐵所建設に際しては、海外の技術を導入することが決定され、1897年(明治30年)に
大島道太郎を中心とする調査団の海外派遣が行われた。
アメリカ、フランス、ベルギーを経てドイツに渡った。
そして、日本が求めている多品種の鉄鋼製品をつくっているドイツのGHH製鉄所を実地調査し、
一貫製鉄所の建設エンジニアリング、機械、資材の供給、指導技師や職工長の派遣、
技術者の実習受け入れについて、全計画をGHHに委託する契約を締結した。
 
日本人の熱い想いが成し遂げたプロジェクト
当時は設備関連の技術蓄積もほとんどなく、職工も素人が多く棟梁、左官、石工、
鍛冶等の従来型の職人はいたが、洋式工事の技能熟練者は皆無に近かった。
そのため、ドイツ人技師を雇い入れて指導を仰ぎ、八幡村の農地に製鉄所建設工事
が始まった。
 

  

 

1897年(明治30年)に工務部機械課を設置し設備基本計画、機材発注及び
基礎工事を始める。
機械設計や熟練工は陸海軍工廠に要請し派遣してもらった

1898年(明治31年)には高炉関連設備の調達を始める
高炉、捲揚設備、熱風炉、送風機設備、その他起重機や耐火煉瓦の設計、製作は
GHHに委託し、担当工事が竣工するまでドイツ人職工長が滞在した。
1899年(明治32年)にはGHHからの資材が到着し設備の据付工事が開始された
わずかな指導者の元で多くの素人工を率いてドイツからの輸送中に生じた鉄骨の
変形や
形状の悪い煉瓦の手直しもしながら苦労の多い仕事を行った
この年に本事務所(世界遺産)が完成した
1900年明治33年修繕工場(世界遺産)鍛冶工場(世界遺産)堂山製罐及び
尾倉鋳造が完成した

また、建設中の1900年には、初代内閣総理大臣の伊藤博文を始め多くの関係者が訪れ
東田第一高炉の前で記念撮影を行った。
 
   

そして、1901年2月5日東田第一高炉に火が入り
11月18日に多くの来賓を迎えて作業開始式が行われ、官営八幡製鐵所が創業した。
 
操業当初の設備仕様
 
  
 
①製銑設備 
 高炉(160t/日)x2基、コッパー式コークス炉 200窯  
②製鋼設備
 ベッセマー転炉(10t)x2基、シーメンスマルチン炉x4基、ガス発生炉x12基
 混銑炉(160t)x2基
③圧延機
 分塊圧延、軌条圧延、大形鉄圧延、中形鉄圧延、小形鉄圧延、薄板鉄圧延
 中板、大板圧延、鍛熱炉(均熱炉、加熱炉)x22基
④工作工場

 修繕工場、鍛冶工場、製罐工場、鋳造工場

 

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